Mae向きなブログ

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化粧する脳

化粧する脳 (集英社新書 486G)』を読みました。第5章の「精神、言説、文化の化粧」では,最近のネットワーク上の言説について書かれています。とても共感したので,ちょっと長いですが引用します。

 これほどまでに姿かたちに対しては神経質になって,鏡に映し,念入りに化粧するにもかかわらず,言葉や表現,身ぶりに対しては大して確認もせずに,すっぴんのまま人前に曝している人が多くなっているのではないだろうか。とくにネットワーク社会に瀰漫する匿名的主体と不特定多数による暴力性に直面すると,この「言葉のノーメイク」にははなはだ疑問を覚えてしまう。
 言葉を書いたとき,言葉を発したときに,それが他者にどのように受けとめられるかということを確認する鏡が,機能していないのではないだろうか。
 このような言説は,鏡を見ないで化粧をした顔で人前に出ている状態と同じである。そのことが気づかれていない。それはまるで目隠しをしてつくった福笑いのような化粧だ。鏡で確認しないで言葉を発するということは,それほど笑いの種となり,醜いことなのである。
 しかし,ネットワーク上の言説は,あまりにも無防備というか,無神経であるようだ。それは顔が見えない匿名性ゆえんだろうか。覆面をしていれば,何を書いてもいいと思っているのだろうか。匿名掲示板の多くの書き込みは読むに堪えない。