本書は東京大学の教養学部と生産技術研究所が開催している「高校生のための金曜特別講座」の2009年度、2010年度分の講義の中から16編をまとめたものです。
内容は、
- 視覚で復号する暗号画像
- 1+1=0の世界の代数・幾何・応用
- ネットワークの科学
- 情報ネットワーク社会としての日本社会
といった自分が昔から好んでいた分野から、どちらかというと苦手と思っていたテーマ(文系分野など)まで幅広く取り上げられていました。
本書を読んで感じたのは、好きだった分野はより一層学びたいと思えるようになり、苦手だと思っていた分野が実はやってみたら面白いのではないかと思えるようになったということです。
大学受験勉強というと、大学に合格するためだけの勉強というイメージを抱きがちなのですが、このような東大の取り組みは、大学に入ってからの勉強に思いを馳せながら受験勉強に取り組むような高校生を育てるのに有効なのではと感じます。
また、自分が本書を通じて感じた「苦手だったことが実は面白いかも」という感覚を得ることができたのは、興味を持たせるような分かりやすくて、難しことを噛み砕いての説明があったからこそだと思います。人に教えるためには、まずは勉強してみたいと思わせるような仕掛けをじっくり考えなければならないなと身を持って体験しました。