本書を読み終えた今、「ポアンカレ予想」が理解できたか?と問われたら、間違いなくNoだと思います。 p225やp340に、
* ポアンカレ予想 Mを3次元の閉多様体とする。 Mの基本群が単位群に同型ならば、Mは3次元球面に同相である。
とありますが、この予想すら理解するのは、正直なところ難しいです。
こんな難しいことを扱っている本書ですが、楽しめたか?と問われたら、自信を持ってYesと答えたいと思います。
ポアンカレ予想を理解するという大きな流れには乗れなかったのかもしれませんが、本書を通して、その支流にある今まで高校や大学などで学んだ微分方程式、三角関数、テイラー展開、フーリエ展開などについての理解を、楽しみながら深めることができたのは有意義な経験でした。
特に印象に残ったのは第9章で、「テトラが言葉を失って椅子から立ち上がるような事実」への導きがとても良かったですね。自分でもノートに数式を書いていくというのも楽しみの一つでした。p326を読みながら新たに問題を設定して解いてみたのですが、実際に手を動かしてみると理解が深まるような気がします。
また、シリーズ6巻目と言うことで、とうとう主人公の僕が受験を目前に控えた受験生に成長しています(我が子もそうですが、子供の成長は早い!)。特に受験を控えている高校3年生の受験生の方々にとっては物語を追うことで、僕と一緒に受験勉強に取り組み、そして乗り越えていくような体験をすることができるのでないでしょうか。サザエさんやちびまる子ちゃんのように登場人物が歳をとらない物語とは違った良さがありますね。
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/04/14
- メディア: 単行本
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